多摩の本格派パン屋 ムッシュイワンの粉

素材のこと

おいしいパンは「一粉 二種 三技術」 いちこな にたね さんぎじゅつ から

 おいしいパン作りは、この三つの基本の上に成り立っています。
 イワンならではの味と香りは、わが国におけるホテルパン製法の第一人者であり、業界の発展に寄与した福田元吉氏の教えを忠実に継承することによって作られています。

1.粉=小麦粉 ・・・パンの仕上がりを決定づける素材の主人公

 パンの材料の中で最大の割合をしめるのが小麦粉。この小麦粉の選定がパンのでき上がりを左右すると言っても過言ではありません。

 イワンで使用する小麦粉は20種類。メインはカナダマニトバ産1CW種を原麦とするトップグレードの強力粉。国内産小麦としては春よ恋、南の香りなどを、フランス産小麦はスワッソン種とVIRON社の粉を用います。

 強力粉は、製粉会社の違う粉を2~3種類ブレンドして使います。こうすることで、小麦粉それぞれの個性を引き出し、かつハーモニーを楽しむことができ、当店自慢の豊かな味と香りを生み出します。

 ペイザンやカンパーニュ、ノア・レザンのようなシンプルな田舎パンには、当店の石臼で挽いた粉をブレンドします。これにより、独特の香りとより深い味わいが加わります。

 また商品によっては、ライ麦粉やさまざまな穀物粉を適宜ブレンドして、個性的な風味や歯ごたえを持たせています。

2.種=酵母 ・・・パン生地を育てあげる母親役

 イワンは「パンは発酵食品」と考えます。

 酵母は、小麦粉を発酵させてパン生地に育て上げるという重要な働きをします。酵母が働きやすい時間と空間を作ってあげることが私たちの仕事。発酵と熟成が生地を育て上げることで、小麦の持つ味と香りが十全に発揮されるのです。

 イワンでは、製品によってパン酵母も使い分けをします。また、自家製酵母では、ホワイトサワー、ライサワーをはじめ、フルーツ由来の酵母など、5種類を使用します。

 パン酵母は、使用量は極力抑え、低温設定された部屋で、発酵過程を長くとることによって、ゆっくりじっくりパン生地に育て上げていきます。こうすることで小麦粉の特徴を最大限に引き出し、伸びやかでもっちりした歯ごたえをもつ香り高いパンに仕上がっていくのです。

2.技術=継承すべきホテルパン製法・・・素材の力を充分に発揮させるパン作りの要

 ムッシュイワンの名は、明治時代に日本のホテルで初めてベーカリー部を作って、本格的なパン作りを伝えたロシア人イワン・サゴヤン氏の名前に由来します。シェフ小倉孝樹の師である「日本のホテルパンの父」と称される福田元吉氏は、サゴヤン氏に長年仕え、その技術・製法を継承しました。明治時代に遡る師の師匠に連なる名を冠するのは、ひとえに香り高いパン作りを継承していこうという決意の表出にほかなりません。
 その技術とは・・・

ミキシング

 捏ねです。ホテルパン製法の最大のポイントは、捏ねすぎないことにあります。ミキシングし過ぎると、生地にストレスがかかって、香りが飛んでしまいます。

発酵

 イワンでは、生地は発酵で育てるものと考えています。今では当たり前になっている長時間発酵を、師である福田元吉氏の教えを受けた小倉シェフの修業時代から守り続けています。時間をかけた発酵過程が、香り高くおいしいパンの生地を育てます。

成形

 成形作業はすべて技術者の手によるもので、生地にストレスをかけないようにできるだけ触らないでまとめあげる難しい工程です。

焼成

 高温に設定したオリジナル石窯で、育てた生地をしっかり焼き上げます。

お店のこと

 ひとつひとつていねいな作業工程を経て、つややかなゴールデンブラウンの風味豊かなパンが焼き上がります。

 マニュアルや紙に書いてあるものでは伝わらない技術、機械だけに頼らない作り方がイワンのパンです。発酵食品でもあるパンの製造過程は、その日の天候や素材の状態で左右されます。その勘どころは、シェフや技術者の仕事ぶりを、その場に居てその場で見ることによって伝承されていくものです。

 いつまでも変わらないおいしさを、これからもお届けしてまいります。

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